そもそも歯石って何?
おやつやご飯を食べると、食べかすが歯の表面に残ります。これを栄養源としてお口の中の細菌類がやってきます。細菌は食べかすを栄養源にしつつ、唾液の中の免疫(IgAなど)によって攻撃され、死滅するものが出てきます。この死んだ細菌に、同じく唾液中のカルシウム成分が沈着することで、食べかすが歯石に変化していきます。
歯石は表面をさらに上から覆うように大きくなっていきます。唾液の出口は下あごの前歯の内側、舌の付け根に左右1つずつ、さらに上の歯の第一大臼歯の外側あたりのほおにあります。このあたりは歯磨きで見えづらいところなので、歯石がよく出来やすい場所です。また、歯周病で深い歯周ポケットが形成されると、その中も食べかすが豊富なので、歯石になりやすい環境と言えます。
セルフケアとプロフェッショナルケアの両立
虫歯や歯周病を予防するには、ご自宅でのセルフケアと、歯科医院でのプロフェッショナルケアの2つが必要です。
ご自宅でのセルフケア
ご自宅での歯磨きは、できれば毎食後に行ってください。昼間の歯磨きが難しい方は、夜の歯磨きをしっかりと時間をとって、ゆっくり磨いてください。最近では清掃効率の観点から、電動歯ブラシと普通の歯ブラシを併用される方が増えています。歯の部分は電動歯ブラシで、歯と歯茎の境目のあたりは普通の歯ブラシで、という具合に使い分けていたりします。
歯科医院でのプロフェッショナルケア
歯科医院には歯科医師と歯科衛生士という専門家が、レントゲン画像で骨の状況を確認し、歯肉の状況を記録して、様々なアイテムを使って歯と歯肉をより良い状態になるよう維持します。特に歯石がつきやすい場所はご自分では見えないので、セルフメンテナンスが行き届かないような場所を中心に歯石除去をはじめとしたケアを行います。虫歯や歯周病へのなりやすさによって、プロフェッショナルケアの間隔は異なります。
歯磨き粉は目的別で選ぼう
歯磨き粉に入れることができる薬用成分には、薬事法に基づいた決まりがあります。薬事法の分類では、歯磨き粉の基本成分だけでつくられている「化粧品」と、基本成分に薬用成分を配合した「医薬部外品」の2つに分けられます。
化粧品の歯磨き粉の特徴
基本的な機能として歯を白くする、口の中をキレイにする、虫歯予防、口臭予防、歯垢やタバコのヤニを取る、歯石の沈着を防ぐなどがあります。厚生労働省への届出は不要ですが、どなたでも問題なく使えるようにしているため、低濃度です。
医薬部外品の歯磨き粉の特徴
上記の基本成分の他に、フッ素、殺菌剤、抗炎症剤など、各種の薬用成分を配合することによって、虫歯の発生・進行予防、歯肉炎・歯周炎の予防など、化粧品の歯磨き粉にはない効能を追加したものです。厚生労働省による審査と販売承認が必要です。
主な成分について
■虫歯予防
歯垢の除去および、歯垢の付着防止、歯質の強化、殺菌作用、それぞれアプローチに応じて成分を配合します。
■歯周病予防
殺菌作用、歯肉の細胞を元気にさせる(賦活)作用、歯肉の血行促進、抗炎症作用、歯肉を引き締める収れん作用のある成分を使います。
■知覚過敏
知覚鈍麻作用、象牙細管という歯根の表面の穴を塞ぐ作用のある成分を使います。
■口臭予防
殺菌作用のある成分を使います。
■ホワイトニング
タバコのヤニを溶かして除去する作用、歯石の沈着を防ぐ作用のある成分を使います。
さいごに
定期的なプロフェッショナルケアを受けていれば、虫歯や歯周病にならない、とは言い切れません。ご自宅でのセルフケアとの両立が効果的に行われることで、虫歯や歯周病のリスクが減らせます。この「効果的に」という中には、自分にとって適切な歯磨き粉を使うことが含まれます。自分にとってどのような歯磨き粉が必要なのか、専門家である歯科衛生士に相談してみましょう。歯磨き粉の選び方、どの成分に着目すべきか、などを聞いておくといいでしょう。
編集後記
編集後記では毎回、編集部のおすすめする全国の歯科医院さんをご紹介させて頂きます。
※本編とは直接関係ありません
丁寧な説明と充実した機器で質の高い治療を提供している医院さんです。虫歯や歯周病の治療をはじめ、親知らずの抜歯や根管治療など幅広い歯科治療を提供されています。患者様お一人おひとりにあった治療計画を提案し、快適で安らげる治療環境を整えられています。