気がつくと口が開いている、朝起きたときに口の中がカラカラになっている、そんなことはありませんか。
呼吸は鼻で行うのが基本ですが、鼻づまりや普段の癖などから、口で呼吸することが習慣になっている人もいます。日中は気をつけていても、眠っている間は無意識に口呼吸になっていることもあります。
口呼吸で気をつけたいのが、口の中の乾燥です。口を開けたまま呼吸すると、口の中の水分が蒸発しやすくなり、唾液が本来持っている働きも十分に発揮されにくくなります。その結果、むし歯や歯周病、口臭など、いくつものトラブルにつながることがあります。
今回は、口呼吸が歯や口にどのような影響を与えるのか、日常生活で気をつけたいこととあわせて紹介します。
口呼吸で口が乾くと、むし歯・歯周病・口臭につながる?
私たちの口の中では、唾液がさまざまな役割を担っています。食べかすや細菌を洗い流すほか、食事によって酸性に傾いた口の中を中性に近づけ、歯を守る働きもそのひとつです。
ところが、口呼吸が続いて口の中が乾燥すると、こうした唾液の働きが十分に及びにくくなります。歯の表面に汚れや細菌が残りやすくなれば、むし歯のリスクが高まるだけでなく、歯ぐきに炎症が起こり、歯周病につながることもあります。
とくに口を開けているときは、前歯の周辺が乾燥しやすくなります。毎日歯をみがいていても、口の中が乾いた状態が続けば、細菌や汚れが残りやすい環境になってしまいます。
口臭も、口の乾燥と無関係ではありません。唾液による自浄作用が弱くなると、舌や歯の周囲に細菌や汚れが残り、ニオイの原因となる物質が生じやすくなります。
日本歯科医師会では、口臭の原因として歯周病やむし歯、舌苔のほか、唾液分泌の減少なども挙げています(*1)。口臭が気になるときは、ケア用品でニオイを隠すだけでなく、口の乾燥や歯・歯ぐきの状態にも目を向けてみてください。
*1:https://www.jda.or.jp/consultation/vol-32.html
子どもの口呼吸は歯並びにも関係する?
口呼吸による影響は、むし歯や歯周病だけではありません。成長期の子どもでは、口呼吸と歯並びや噛み合わせとの関連も指摘されています。
鼻呼吸をしているときは、通常は口が軽く閉じ、舌も一定の位置にあります。口呼吸が習慣になると、呼吸をするために口を開けた状態が続き、舌の位置や唇、頬など、口周りの筋肉の使い方が変化することがあります。
慶應義塾大学病院では、鼻やのどの疾患によって口呼吸をする子どもの場合、舌の位置が低くなったり、口周りの筋肉の働きが変わったりすることで、上の前歯が前方に出る「上顎前突」などにつながることがあると解説しています(*2)。
ただし、口呼吸をしているからといって、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。歯並びには顎や歯の大きさ、遺伝的な要素、舌や唇の癖など、さまざまな要因が関係しています。
子どもがいつも口を開けている、眠っているときに口呼吸をしている、歯並びの変化が気になるといった場合は、歯科医院で相談してみるのもひとつの方法です。鼻づまりなど、鼻やのどに原因がある場合には、耳鼻咽喉科での診察が必要になることもあります。
*2:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000216/
口呼吸が気になるときにできること
口呼吸が気になるからといって、単に「口を閉じるように意識すればよい」とは限りません。アレルギー性鼻炎や鼻づまりなど、鼻から息をしづらいために口呼吸になっているケースもあるからです。
まずは、普段の自分の状態を振り返ってみましょう。
「何もしていないときに口が開いている」「朝起きると口やのどが乾いている」「眠っているときに口が開いていると言われたことがある」といった場合は、口呼吸をしている可能性があります。
鼻で無理なく呼吸できるのであれば、普段から口を閉じて鼻で呼吸することを意識してみてください。よく噛んで食べることも、口周りの筋肉を使う機会になります。
口の乾燥が気になるときは、こまめな水分補給をおすすめします。ただし、水分をとれば口呼吸の原因そのものが解消されるわけではありません。
鼻づまりが続いているなら耳鼻咽喉科、歯並びや口の乾燥、むし歯・歯周病が気になるなら歯科医院というように、症状に応じて相談先を選ぶとよいでしょう。とくに子どもの場合は、成長や歯の生え変わりもあるため、口呼吸が続いているようなら長く様子を見すぎず、専門家に確認してもらうことをおすすめします。
さいごに
口呼吸が続くと口の中が乾燥し、唾液の働きが弱まりやすくなります。その影響は、むし歯や歯周病、口臭などにとどまらず、成長期の子どもでは歯並びに関係することもあります。
ただ、口呼吸には癖だけでなく、鼻づまりなど別の原因が隠れている場合もあります。口が開いていることだけを直そうとするのではなく、なぜ鼻で呼吸しにくいのかを確認することも必要です。
朝起きると口が乾いている、普段から口が開いている、口臭や歯ぐきの状態が気になる、そんな変化に心当たりがあれば、口呼吸も含めて一度お口の状態を見直してみてはいかがでしょうか。