歯磨きのたびに血がでる。歯ぐきが赤く、腫れている。朝起きたら口の中がベタベタする。
こんな症状見逃していませんか?思い当たる節がある人はもしかしたら歯周病かも。
症状が進むと抜歯の可能性もある恐ろしい病気ですが、症状の初期なら正しい対処で改善できます。
豊かな老後を過ごすためにも、歯は大切な存在。歯周病について知り、しっかり対策しよう。
罹患率は60代で9割!歯周病ってどんな病気?
歯周病は口内にいる歯周病菌が引き起こす病気です。私たちの口の中にいる細菌はおよそ300~700種類。
善玉菌と悪玉菌がバランスを取りながら口内フローラを形成しています。口内フローラとは様々な細菌が口の中に住み着いている状態。
顕微鏡で見るとまるでお花畑のように見えるので、口内フローラと呼ばれています。
なにかのきっかけで口内フローラのバランスが崩れると、歯周病の原因となる悪玉菌が増殖し歯ぐきに炎症を起こします。これが歯周病なのです。
症状が進行すると歯周病菌は歯と歯ぐきの間に深く潜り込み歯周ポケットを作ります。
やがて骨まで達すると歯を支える歯槽骨を溶かしてしまうことも。
歯槽骨が溶け出し、歯がぐらつくほど症状が悪化すると、抜歯しなくてはいけなくなることもあります。
歯周病が恐ろしいのは、あまり痛みを感じずなかなか症状の進行に気が付けないところ。
何年もかけてジワジワと歯ぐきを侵し、気が付いたときにはすでに重症化しているのです。
厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によると、「歯肉炎及び歯周疾患」で継続的な治療を受けている患者数は331万人に上ると推測されています。
一説によると40代で約8割、60代ではなんと約9割が潜在的な歯周病とも。
退職前後になって症状が悪化して後悔することが多い歯のトラブル。
手を施せるうちに早めの対策をとることが重要です。
歯周病を引き起こす原因
歯周病を引き起こす最大の原因は、日ごろの口内ケアが不十分なことです。
ブラッシングが不十分で口の中に食べ物の残りかすが残っていると、それを栄養にして悪玉菌が増殖。ねばねばとした分泌液を出し、歯垢(プラーク)を作ります。
空気が嫌いな歯周病菌にとって歯垢は格好の住処。歯垢は歯周病菌の温床になり、炎症を広げていくのです。
歯垢は時間がたつと歯の表面で固まり、歯石になります。
歯にがっちりと定着した歯石は歯ブラシでも取り除くことができず、歯周病の症状を進める毒素を出し続けます。
実は、程度の違いはありますが、歯周病の原因菌は誰の口の中にもいるものです。
毎日の歯ブラシがおざなりになっていることが、歯周病を進行させる最大の要因になっているのです。
一方、次のような要因がある人は歯周病になりやすいと考えられます。
当てはまる項目がある人は要注意です。
歯並びが悪い
歯並びが悪く、歯ブラシが届きにくい部分があったり、歯の間に食べ物が挟まりやすい人は歯垢がたまりやすい傾向があります。
喫煙
統計的に喫煙の習慣がある人はない人に比べて歯周病にかかるリスクが4倍以上高いことがわかっています。
原因は、煙草に含まれる成分が末梢の血管を狭め、歯周病への抵抗力を弱めることにあります。
歯ぐきが硬くなり、出血や腫れの症状に気づきにくくなることも考えられます。
喫煙者だけではなく、受動喫煙でも歯周病のリスクは高まります。
口呼吸
通常、口の中では唾液が分泌され、その免疫力が虫歯や歯周病を防いでいます。
口で呼吸すると、口の中は必ず乾燥することで免疫力が低下し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
また、口の中が渇くことで唾液の自浄作用も低下し、歯垢や歯石ができやすくなります。
その結果、歯周病も進行しやすくなるのです。
歯ぎしり・咬み合わせが悪い
歯ぎしりをする癖があったり、噛み合わせが悪いと、部分的にあごの骨に大きな負担がかかります。
歯を支えるあごの骨に大きな負担がかかると力を受けている部分の歯槽骨は溶け出しやすくなり、その結果、歯周病の進行が早まります。
ホルモンバランス
歯周病菌の中には女性ホルモンのプロゲステロンを栄養に増殖するものがあるため、女性のほうが歯周病患者が多い傾向があります。
妊娠中や月経期には歯周病の症状が悪化しやすくなります。
また、更年期にも歯ぐきの炎症が起こりやすいため注意が必要です。
徹底対策でいつまでも元気な歯を!
改めて、次のような症状はありませんか?当てはまる項目が多い人は歯周病の疑いあり!
今すぐ対策をはじめる必要があります。まずは歯医者さんで検査を受けましょう!
・歯磨きの際、血が出る
・歯ぐきが赤く腫れている
・歯ぐきが前よりも下がっている
・口臭が気になる
・朝起きたとき、口の中がベタベタする
一度下がってしまった歯ぐきは治療をしても元に戻りません。
手遅れになる前に適切な対策をして、健康なお口を守りましょう。
徹底した口内ケアが唯一の対策です。
対策1.食後の歯ブラシを徹底する
ブラッシングはやり方が間違っていると、いくらこまめにやっても不十分。
正しいやり方を身に着けて、可能な限り毎食後行いましょう。
どうしても毎食後にブラッシングできないときは、夜だけでも時間をかけて丁寧に磨くようにしましょう。
ブラッシング方法には、歯垢(プラーク)の付着している場所や歯茎の状態から判断し、大きく分けて2種類の方法がございます。
バス法
歯ブラシの毛先を歯と歯茎に対して45度の角度で当てる方法。
歯と歯茎の間に歯垢(プラーク)が多く残っている方や歯周病リスクが高い方はバス法を試すとよいでしょう。
コツとしては歯ブラシの毛先が歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に入る様にして、小刻みに左右に動かします。
スクラッビング法
歯ブラシを歯に対して直角に当てる方法。
歯ブラシの毛先が直角に当たるので、磨き残しが少なくなります。
お口の中が健康な方にはスクラッビング法をお薦めします。
大きく動かすと歯ブラシの毛先が寝てしまうので、毛先を立てながら左右に細かく動かしてください。
対策2.フロス・歯間ブラシ
歯ブラシだけでは歯と歯の間に届きません。
歯ブラシと合わせて必ずフロス・歯間ブラシを使いましょう。
歯と歯の間にフロスや歯間ブラシを優しく入れ、歯ぐきとの間から歯の側面に沿わせて細かく左右に動かします。
力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうので、気を付けましょう。
対策3.茶葉うがい
セルフケアとしてオススメなのが茶葉うがい。
緑茶に含まれるカテキンが口内フローラのバランスを整え、歯周病を抑えてくれます。
100mlの水やぬるま湯に一つまみの粉末茶葉をいれ、よく混ぜます。
歯磨き後、その水でしっかりうがいをするだけで歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できます。
口の中がすっきりして、口臭も予防できます。
あくまで補助的な対策法ですが、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
対策4.定期的な歯科受診
もっとも確実な対策は歯医者さんで診てもらうことです。
明確な症状がないうちは、自分では気づきづらいものです。
歯科検診で徹底的に調べてもらいましょう。
たまっている歯石を取り除き、歯ぐきの腫れにも対応してくれます。
磨き方など日常の口内ケアについてアドバイスを受けられます。
定期検診中に新たな疾患が見つかっても、一緒にその原因を探り、再発を防ぐ治療が受けられるため、定期的に歯科健診を受けましょう。
毎月一度、すくなくとも数か月に一度は歯医者さんで口内ケアをしてもらいましょう。
気になったときが受診のタイミングですよ!
編集後記
編集後記では毎回、編集部のおすすめする全国の歯科医院さんをご紹介させて頂きます。
※本編とは直接関係ありません
歯医者は痛いし怖い、というイメージを持つ人々にも安心して来院してもらえるような環境作りに努めていらっしゃる医院さんです。患者さんのストレスを最小限に抑えることに注力されており、悩みやトラブルの丁寧にヒアリングするなど、信頼関係を築くために、率直なコミュニケーションを心がけていらっしゃいます。