歯周病になってしまったら?その治療法と治療後のケアについて

  • 2022年12月22日
  • 2023年7月11日
  • 歯周病

歯周病は国民病と呼ばれるほど多くの人が罹患している感染病であり、その数は成人の8割にも上ると言われています。歯周病は身近な疾患ではありますが、進行性の疾患であり、早期治療が望まれます。そこで今回は、歯周病について詳しくご紹介してまいります。

歯周病の原因

歯周病は、細菌の感染によって引き起こる炎症疾患です。歯周組織と呼ばれる歯を支える歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質を溶かしてしまい、最終的には歯の抜歯を余儀なくされる恐れもあります。

歯磨きが上手くできていなかったり、疎かにしてしまったりすると、歯の表面に細菌の塊である歯垢(プラーク)が蓄積されます。歯垢1mgの中には、およそ10億の細菌が潜んでおり、歯と歯肉の間の溝である歯周ポケットに溜まりやすく、歯肉を炎症させていきます。歯垢は数日で歯石へと変化していくのですが、歯垢から歯石となってしまうと歯磨きでは除去できず、歯科医院での処置が必要になります。また、歯石は新たな歯垢が吸着しやすくなっているため、歯石の上に更に歯垢が蓄積していくことで、歯周病もさらに進行し、歯周ポケットもどんどん深くなっていきます。

それでは歯周病の進行過程を見ていきましょう。

歯肉炎

歯周ポケットに歯垢が溜まり、歯肉のみ軽い炎症が生じた状態です。歯周病の前段階であり、自覚症状はなく、歯磨き時に出血する程度です。歯肉炎の段階でお口の中の清掃を行えば、健康な歯肉へと改善が期待できます。

軽度歯周炎

痛みなどはありませんが、歯肉の炎症が進行し赤く腫れ、歯磨き時に出血を伴います。歯肉だけではなく、歯を支える顎の骨などを含む歯周組織にも炎症がみられるようになり、口臭も気になってきます。

中等度歯周炎

歯肉などの歯周組織の炎症が進み、歯周ポケットも更に深くなっていきます。顎の骨が段々と溶け出している状態で、歯がグラグラとしてきます。歯肉からの出血だけではなく、膿などが出ることもあり、口臭もきつくなっていきます。

重度歯周炎

歯を支える歯槽骨(あごの骨)がほとんど溶かされた状態です。痛みも酷くなり、食事にも支障が出てきます。歯を支えきれずグラグラとした状態を放置してしまうと、抜け落ちてしまう恐れもあります。

歯周病の治療について

歯周病は「サイレントキラー」と呼ばれ、ある程度進行して初めて気づく人も少なくありません。歯周病の検査を行い、歯周組織の状態を確認しながら、基本的に以下の治療を行います。

基本治療

■ブラッシング指導

普段の歯磨きが十分に行えないと、歯周病リスクも高まり治療で改善できたとしても、再発してしまう可能性があります。正しいブラッシング方法を身に着けられるように、指導を行います。

■スケーリング、ルートプレーニング

歯周ポケットに潜む歯石を専用の器具で除去していき(スケーリング)、歯肉で隠れている歯根面をツルツルにして(ルートプレーニング)、歯石の再付着を防ぎます。

■咬合調整

咬み合わせの高さにズレなどがある場合、歯に負担が掛かり、歯周病を悪化させてしまうケースがあります。そのため、高さの調整を行い、歯の負担を最小限に抑えられるように処置を行います。

■抜歯

重度の歯周病である場合、抜歯を行わなければならないケースも、少なくありません。

外科治療

基本治療で歯周病が改善しない場合や、ある程度進行している場合は以下のような外科治療を行います。

■フラップ手術

歯肉を切開して、奥深くに眠る縁下歯石を除去します。

■歯周組織再生療法

歯を支える歯周組織を回復させるための治療を行います。

■歯周形成手術

歯肉の形を整える手術を行い、歯磨きなどをしやすくします。

メインテナンス

歯周病は治療が完了した後も、定期的なメインテナンスを行う必要があります。メインテナンスを行わなければ、再発リスクが非常に高まるため注意が必要です。メインテナンスでは歯周病検査を行い、必要に応じてスケーリング・ルートプレーニング、セルフケアの確認・強化、PMTC(歯の清掃)などを行います。

自宅でのケアについて

歯周病は歯科医院での治療を行ったからといって改善するものではありません。歯周病治療後も定期的なメインテナンスに加え、自宅でのケアがその後の回復を左右します。歯ブラシと清掃補助グッズを活用しながら、ケアを行いましょう。

歯ブラシ

歯周ポケットに歯ブラシの毛先を滑り込ませるように、斜め45°で歯ブラシを当て、小刻みに動かして磨きましょう。

デンタルフロス

歯ブラシの毛先が行き届かない、歯と歯の間にはデンタルフロスを使用して、汚れを除去しましよう。

歯間ブラシ

歯と歯の間に存在するブラックトライアングル(三角ゾーン)にある程度の隙間がある場合は、歯間ブラシを活用しましょう。歯間ブラシにはいくつかのサイズがあるため、自身に合ったサイズを使用することが重要です。

まとめ

歯周病は進行性の炎症疾患です。治療を行わないまま放置してしまうと、歯を失いかねません。また、歯周病は全身の疾患を引き起こす原因となることもあります。歯周病は早期治療が望まれるため、歯科医院で定期的な検診を受けましょう。

編集後記

編集後記では毎回、編集部のおすすめする全国の歯科医院さんをご紹介させて頂きます。
※本編とは直接関係ありません

川西歯科(神奈川県秦野市)

患者さんの気持ちを大切にし、治療内容の分かりやすい説明を心がけていらっしゃる医院さんです。患者さんが納得し、理解した上で治療を進められるように、メリット・デメリットの情報を提供し、治療法、費用、期間などについて丁寧に説明されています。