歯周病予防につながる食べ物は?食べて良いものと避けたいものをご紹介

歯周病予防に効く食べ物とは?

そもそも歯周病とは、歯と歯ぐきの間に侵入した細菌が繁殖し、それらが出す毒素によって歯ぐきに炎症を引き起こす疾患です。成人の約80%が歯周病にかかっていると言われており、進行すると口臭が発生したり歯が揺れて抜け落ちたりすることもあります。歯周病は食事によって改善されるものではありませんが、食べ物に含まれている成分がお口の中の健康を保ち、歯周病予防につながります。ここでは歯周病予防の効果が期待できる成分と食べ物をご紹介します。

食物繊維

唾液には食べかすや歯垢を洗い流す「自浄作用(じじょうさよう)」や細菌の繁殖を抑える「抗菌作用」があります。食物繊維を含む食品は繊維質のものが多く、噛む回数が増えるため唾液の分泌が促進されます。それにより、自浄作用や抗菌作用の効果が期待でき、歯周病予防にも役立ちます。

食物繊維を多く含む食べ物

  • 玄米、麦芽米、トウモロコシなどの穀類
  • 納豆、大豆、あずきなどの豆類
  • さつまいも、こんにゃくなどのいも類
  • ごぼう、セロリ、アスパラガス、キャベツなどの野菜類
  • しいたけ、しめじ、えのきなどのきのこ類
  • わかめ、寒天などの海藻類

カルシウム

カルシウムは歯や歯を支えている骨を作るために必要な成分です。カルシウム不足になると虫歯になると思われがちですが、不足分を他の骨から補うため歯への影響は少ないと言われています。ただし、カルシウムが不足すると骨がもろくなる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」になる可能性があります。骨粗鬆症になると歯周病になるリスクが高まることから、カルシウムが不足しないように気をつける必要があります。

カルシウムを多く含む食べ物

  • 牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品
  • 煮干し、ししゃも、しらすなどの魚介類
  • えんどう、油揚げ、厚揚げなどの豆類
  • モロヘイヤ、かぶ、しそなどの野菜類

ビタミンC

歯周病予防にビタミンCは欠かせない栄養素の一つです。歯と歯ぐきと歯を支えている骨は、「コラーゲン繊維」で結びついています。歯周病になるとコラーゲン繊維が破壊されて歯ぐきに炎症を起こし、出血などのトラブルを引き起こします。ビタミンCには壊れたコラーゲン線維を修復する役割があり、歯ぐきの健康を維持するために重要な栄養素なのです。

ビタミンCを多く含む食べ物

  • 赤ピーマン、ブロッコリー、キャベツなどの野菜類
  • じゃがいも、さつまいもなどのいも類
  • アセロラ、キウイフルーツ、イチゴなどの果物類

乳酸菌

お口の中には腸内と同じように善玉菌と悪玉菌、どちらにもなりうる日和見菌が存在しており、このような細菌の集団を「口内フローラ」と言います。口内フローラのバランスが乱れて悪玉菌が優位になると、虫歯や歯周病などのトラブルが起こりやすくなります。乳酸菌が含まれた食べ物は口内フローラのバランスを整えて歯周病を予防します。

乳酸菌を多く含む食べ物

  • ヨーグルト、チーズ、キムチ、漬物などの発酵食品

茶カテキン

お茶に含まれているポリフェノールの一種「茶カテキン」には、抗菌作用や抗酸化作用があると知られています。茶カテキンは、虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑えて歯垢の形成を抑制する効果があり、虫歯や歯周病予防に有効です。また、お茶にはフッ素が多く含まれており、歯の質を丈夫にします。

茶カテキンを多く含むお茶

  • 玉露、抹茶、煎茶、紅茶、ほうじ茶など

逆に避けたほうが良い食べ物とは?

反対に避けたほうが良い食べ物もあります。以下のような食べ物は歯周病菌を繁殖させたり、身体の免疫力を下げて歯周病のリスクを高めたりする可能性があります。

歯周病菌が増えてしまう食べ物

歯周病菌は、食べかすや磨き残しを餌にして繁殖します。食べ物の中でも歯にくっつきやすいものは、歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間、歯のくぼみに停滞しやすいため歯周病菌が繁殖しやすくなります。また、これらの箇所は歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多発しやすいです。特に以下の食べ物は摂取を控えるなど注意が必要です。

  • キャラメル、クッキー、チョコレート、飴など

炎症を促してしまう食べ物

細菌やウイルスが体内に侵入すると、感染から守るために炎症反応が起きます。つぎに抗炎症反応が機能して体内を正常な状態に戻します。歯周病は、歯ぐきに慢性的な炎症を起こしている状態です。以下のような炎症を起こす食べ物を必要以上に摂取すると、抗炎症反応が機能せず歯周病が悪化する可能性があります。

  • 加工食品、アルコール、清涼飲料水など

免疫力を下げてしまう食べ物

そもそも免疫力とは、有害な細菌やウイルスから身体を守る強さのことです。免疫力が低下するとお口の中の免疫システムが機能しにくくなり、歯周病菌が繁殖する可能性があります。加えて喫煙やストレス、お口の中の清掃不良といったさまざまな要因が重なると歯周病は悪化してしまうのです。免疫力が低下する食べ物には以下のようなものがあります。

  • ファストフード、ポテトチップス、アルコールなど

食べ物以外に気を付けるポイント

歯周病予防は、原因となる歯垢をためないことが大切です。また、健康状態が悪いと免疫力が低下して歯周病菌が繁殖しやすい環境になります。例えば、疲労やストレス、睡眠不足は、唾液の量が減って歯周病菌が繁殖しやすくなったり、自律神経のバランスが崩れて免疫力が低下したりするため歯周病が進行しやすくなります。また、タバコを吸う人は吸わない人よりも歯周病になるリスクが高まることが知られています。歯周病予防のためにも禁煙をめざして、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

さいごに

身体の免疫力が低下すると、お口の中の菌が繁殖して歯周病のリスクが高まります。歯周病予防のためにもバランスの良い食事を心がけ、免疫力が低下するような生活習慣は改善する必要があります。また、歯周病は歯垢がたまることによって起きるもののため、セルフケアや歯科医院でのメインテナンスも重要です。歯ぐきが腫れている、歯磨きの際に出血があるなど気になる症状があれば早めに歯科医院を受診しましょう。

編集後記

編集後記では毎回、編集部のおすすめする全国の歯科医院さんをご紹介させて頂きます。
※本編とは直接関係ありません

やまだ歯科クリニック(香川県さぬき市)

患者さんの年齢や口内の状態に合わせた予防システムを通じて、むし歯や歯周病の予防に真摯に取り組んでいる医院さんです。食生活や治療歴などの情報を基にリスク要因を特定し、改善に向けたサポートを行っていらっしゃいます。地道な予防によって、患者さんの口腔内の健康維持に貢献されています。