インプラントの医療費控除ってなに?
医療費控除と聞くと、どのようなイメージをお持ちですか?
たとえば、病気やケガをした時に病院を受診したり、虫歯の治療で歯科医院に行ったりした時に窓口で払った医療費が大きいと、後でいくらか返ってくる、というものでしょうか。
その治療費ですが、保険診療と自費診療のうち、保険診療しか申請できない、というイメージをお持ちの方もおられるのではないでしょうか?
実は、各種病院や診療所で支払った保険診療の治療費だけではなく、インプラントなど自費診療の費用や治療に必要なその他の費用も医療費控除で申請できます。どのくらい戻ってくるかは所得によって異なりますが、申請によりインプラント費用を低く抑えることができる場合もあります。
注意が必要なのは、治療に必要な費用が対象になるということです。インプラント治療の場合、「歯を失ったため噛めない」という問題に対して、インプラントが必要と判断された場合になります。口元の見た目を改善させたい、という審美目的で行った治療費は医療費控除の対象外になります。
医療費控除に関する4つのポイント
医療費控除に関して、押さえておくべきポイントは4つあります。
1.デンタルローンやクレジット払いを使用しても医療費控除の申請はできる
インプラントは、とても高額になることがあります。その際に1回で支払いができないために、各種金融機関のデンタルローンやクレジット払いを使う方もおられるでしょう。
インプラントの支払い方法がデンタルローンやクレジット払いの場合でも医療費控除の申告ができます。ただし注意点が2つあります。まずローン支払い手数料や金利は医療費控除の対象外となります。そして年末までに病院に支払った額が翌年3月の医療費控除申請の対象ですので、分割払いを病院と直接契約している場合は注意してください。
2.確定申告が必要
医療費控除は、自分が申請しない限り受け取ることができません。この申請とは、確定申告のことです。確定申告は1月1日から12月31日までの収入と支出について、翌年3月中旬までに申請して所得税額を確定させる手続きのことです。複数の施設から給与を受けている場合、株や不動産の売買などで利益を得た方などはもちろん、医療費についても申告する必要があります。
3.申告を忘れても5年間の猶予期間がある
確定申告は、毎年2月から3月半ばまでの間に前年の収入と支出について報告します。しかし、年度末が近いなどで忙しい方も多いことでしょう。また、職場が源泉徴収して年末調整をしているため、確定申告は不要かと思っていた、という方もおられると思います。
今回この「インプラント治療に医療費控除が使える」という情報を初めて知った、という場合でも、過去5年間について、領収書原本が手元にあれば、申告手続きが可能です。ただし、領収書原本が手元に無い場合に医療機関に再発行を依頼することは、領収書の二重発行となるため難しいでしょう。
4.セルフメディケーション税制とは併用できない
セルフメディケーション税制とは、特定の医薬品購入について控除するという制度です。健康維持増進と病気の予防を目的として、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品・一般用医薬品のなかで医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用の一部で控除を受けることができるという制度です。しかし、医療費控除の申請を行う場合、セルフメディケーション税制の申告はできません。
対象になる費用とならない費用の違い
インプラント治療は、一般的に以下のような費用がかかります。
・検査、診断に関する費用(レントゲン、CT、模型作製など)
・手術費用(インプラント埋入、静脈内鎮静法の費用、骨造成手術の費用など)
・インプラント本体の費用(フィクスチャー<歯根部分>の費用)
・被せ物(人工歯部分)、アバットメント(人工歯と歯根との接続部品)の費用
・メンテナンス費用(インプラント周囲を専用器具で綺麗に保つため)
以上を合計すると、患者様それぞれのお口の状態(歯の欠損の状況、骨吸収の状況)、医院によっても異なりますが、歯1本あたりのインプラント治療費はおよそ40〜60万くらいになるようです。
医療費控除の対象になるのは
・標準的な材料を用いて標準的な治療をした場合の費用
・バス、電車などの公共交通機関でかかった往復交通費(メモで可)
・デンタルローンやクレジットカード払いで信販会社が立替払いをした額
医療費控除の対象にならないのは
・標準治療とかけ離れた額の特殊な治療(特殊な材料を用いたなど)
・自家用車で通院した場合のガソリン代、駐車場代
・ローンやクレジットで支払う際の金利や手数料
標準的な金額におさまるかどうか、歯科医院でよく話し合い、見積書や明細がわかる領収書などを事前に書面でもらっておくことが必要でしょう。
さいごに
インプラントはブリッジや入れ歯(義歯)と比べて、高額な治療になります。
しかし、隣の歯を削らなくてよいうえに、入れ歯のような違和感が少なくしっかり噛めます。
これは、長い人生においてみると、金額以上に「食べる喜び」という価値をもたらしてくれる治療法ではないでしょうか。
医療費控除が使えることで、少しでも安く治療できるのなら、選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょう。
編集後記
編集後記では毎回、編集部のおすすめする全国の歯科医院さんをご紹介させて頂きます。
※本編とは直接関係ありません
新橋駅から徒歩わずか4分に位置する歯科医院さん。幅広い歯科診療に対応し、患者さんの健康と希望に真摯に向き合っていらっしゃいます。患者さんの立場に立った診療を心がけ、長年にわたり築き上げてきた信頼を揺るぎないものとして守っておられます。