根管治療とは?種類と注意点について解説

根管治療ってどういう治療のこと?

根管治療とは、歯の内部にある歯髄(しずい)に菌が侵入した場合におこなわれる処置で、一般的には神経を取る治療と言われています。歯を残すための最終手段としておこなわれることも少なくありません。

根管治療が必要な歯を放置すると、いずれ歯ぐきから上にでている歯冠(しかん)部分が菌によってすべて溶かされて歯根だけになってしまいます。その場合は対処法が抜歯のみになるケースも珍しくないため、早めの治療がおすすめです。

治療期間は平均で3〜4週間ほどかかります。

使用する道具や施術者の技量によって左右されやすい治療

歯の表面ではなく細い根管内を触る根管治療は、ほかの治療にくらべて難しく、成功率も使用する道具や施術者の技量によって左右されやすい傾向にあります。

目視のみでおこなうより、拡大鏡やマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用する方が成功率は高くなるため、治療環境や使用する道具は事前に確認するようにしましょう。とくに1回目の根管治療は慎重になることをおすすめします。

根管治療が必要な症例とは?

虫歯は、歯の表面が菌に溶かされ始めた脱灰状態であるC0から、エナメル質が溶かされるC1、エナメル質の内側にある象牙質が溶かされるC2、象牙質の内側にある歯髄が菌に感染するC3、歯冠がほぼ溶かされて歯根だけの状態になるC4の5段階に分けられます。

根管治療が必要な虫歯は、C3もしくは初期のC4です。

根管治療の種類

抜髄根管治療

歯髄を抜くことを抜髄(ばつずい)といいます。歯髄が炎症をおこすと強い痛みを生じるため、麻酔をしてリーマーやファイルとよばれる器具を使って抜髄をし、歯髄以外の感染部分を引き続き除去します。感染部分がすべて除去できたら専用の薬を詰めて土台をたて、最終的な被せ物をして終了です。

感染根管治療

歯髄の炎症を放置して菌が増殖し、歯根の先に膿が溜まった状態の歯におこなう治療を感染根管治療といいます。溜まった膿を根尖病巣(こんせんびょうそう)といい、歯槽骨が溶かされてできているため、早めに対処しなくてはいけません。

壊死した神経と感染部分を取り除き、専用の薬をつかって根尖病巣がなくなるのを待ちます。根尖病巣がなくなるようであれば、薬を詰めて土台をたて、最終的な被せ物をして終了ですが、変化がない場合は外科手術で病巣を取り除く必要があります。

再根管治療

以前根管治療をした歯が再び感染した場合は、内部を詰め直すための再根管治療が必要です。

根尖病巣がみられた際におこなわれるケースが多いため、歯科医院によっては再根管治療を感染根管治療と表現する場合もあります。

根管治療後の注意点

痛みが続く場合がある

根管治療後はすぐに痛みがなくなるとは限りません。

場合によってはズキズキとした痛みが数日続くため、お辛い方は鎮痛剤を服用いただき、ご不安な方は歯科医院までご連絡ください。

歯が脆くなるため念入りなケアが必要

歯髄には神経だけでなく血管も通っており、歯に栄養を与える役割があることから、根管治療後は健康な歯にくらべて脆くなる傾向にあります。歯を長持ちさせるためにも丁寧なお手入れを心がけ、定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。

歯根が割れた場合は抜歯が必要になることも

脆くなった歯は小さなヒビが入ったり、割れたりするリスクが高くなります。とくに根管治療を繰り返しおこなった歯はそれらのトラブルがおこりやすいため、気をつけなくてはいけません。

完全に割れた場合は、歯がグラついて食事やお手入れがしにくくなるだけでなく、菌が内部に侵入しやすくなるため、抜歯が必要になることもあります。

さいごに

虫歯は自然に治癒することはなく、歯髄まで感染が進むと根管治療が必要になります。歯が耐えられる治療回数には限りがあるため、早めの治療をし、再びトラブルがおこらないよう丁寧なお手入れとメンテナンスを心がけましょう。

定期検診を受けることで、虫歯や歯周病などの予防や早期発見につながります。