日本人の多くが罹患している歯周病は、口腔内で歯周病の原因となる細菌が増殖した結果、発症・進行していく病気です。
初期には自覚症状も無く、歯ぐきの腫れや出血などの目に見える症状が出た時にはすでに病気が進行している場合が多く、その状態からの治療には時間がかかります。
歯周病の原因菌は、唾液を介して人から人へ感染します。歯周病菌の感染リスクと注意点などについてまとめました。
歯周病菌の感染経路
上述の通り、歯周病の原因菌は唾液を通じて人から人へ感染します。
家庭内での食器のシェアや、スキンシップによって感染する可能性がありますので、歯が生え始めた時期のお子さんがいるご家庭では、食器のシェアや過度なスキンシップは控えた方が良い、という意見も、ある時期にはとても多く聞かれました。
ただ、どれだけ気を付けていたとしても、全くの無菌状態でお子さんを育てると言う事は現実的ではありませんので、感染自体を防ぐことはかなり難しい、事実上不可能に近いという意見も、この頃は多くなってきています。
感染=発症ではない、日常のケアが大切です
家庭内での唾液からの感染防止に気を使っていても、歯周病菌の感染自体を防ぐことはかなり難しいです。
例えば、幼稚園や保育園などでお友だちから感染することもありますし、直接的なスキンシップではなくても、食器に限らず、いろいろなものを舐めたり口に入れたりしてしまうお子さんはとても多いです。
口腔内に歯周病菌が入ったとしても、必ず菌が増殖して歯周病になると言うわけではありません。
健康状態、栄養摂取などが十分で、体内の免疫力が充分に高い状態であれば、歯周病菌の繫殖を防ぐことが可能です。
毎食後のうがいや歯みがきなど、ご家庭での口腔ケアで、菌の繁殖を抑える事もできます。
妊娠中は歯周病にかかりやすくなる?妊婦と歯周病について
免疫力が高く、日々の口腔ケアが十分に出来ていれば、口腔内に歯周病菌がいる状況であっても、歯周病の発症や進行を遅らせることが出来るとお伝えしました。
妊娠中はホルモンバランスの変化や、胎児に必要な栄養を与える必要性、悪阻などで嘔吐や気分が悪くなる機会が増えるなど、さまざまな理由から免疫力が落ちて、口腔ケアが十分に出来ない状況が生まれやすくなります。
そのため、妊娠中に歯周病が進行してしまうという方も多くいらっしゃいます。
妊娠の予定がある方は事前に歯医者に通ってむし歯や歯周病の治療を受けておく、妊娠中も歯科医師に相談の上、体調の安定している時期に歯医者に通って専門家によるケアや治療を受けることなどが重要です。
悪阻の時期などで、妊娠前までのような口腔ケアが苦痛に感じる時でも、無理のない範囲でうがいの回数を増やすなど、口腔内を清潔に保つ意識が大切になってきます。
さいごに
歯周病菌への感染経路を完全に遮断することは、事実上不可能ですので、感染防止に意識を集中し過ぎるよりも、感染自体はするものという意識の下、日々の口腔ケアの質を高めていくことの方が大切です。
ホームケアだけでむし歯や歯周病の原因になる歯垢の除去を完全に行うことは難しく、歯垢が歯石になってからではご家庭での除去は出来ません。
痛みや腫れなどの症状がなくても定期的に歯医者に通って、プロによるケアやクリーニング、歯石の除去や歯みがき方法の指導などを受けることを習慣づけましょう。