顎関節症で顔の歪みが起こる!?原因と治療方法について

「噛んだときに顎が痛む」

「口を開けると顎がカクカクする」

「左右の顔の形が変わってきた」

こんなお悩み、ありませんでしょうか?上記の症状がでている方は顎関節症の疑いがあります。

顎関節症は顎の痛み・口を開けたときの違和感・顎関節から音がする、などの症状がでる病気です。進行すると顔の歪みが起こることもあります。

顔の歪みが起こる原因って?

顔の歪みは日頃のクセやストレス、咬み合わせの異常など、さまざまな原因によって引き起こされます。

片方のみで食べ物を噛むことが多い

左右どちらか片方のみで食べ物を噛んでいると、顎の筋肉(そしゃく筋など)や顎の関節のバランスが崩れてしまい、顔の歪みが起きることがあります。

歯ぎしりや食いしばりをしてしまう

上下の歯をぎりぎりと噛みしめたり、食いしばるクセがあったりすると顔の歪みが起きることがあります。

頬づえをよくつく

頬づえ(手で頬や顎を支えること)は片方の顎に力がかかってしまいます。顎の筋肉や脂肪の付き方のバランスが崩れるほか、頬づえが原因で顎の骨格が歪んでしまうこともあります。

姿勢が良くない

猫背など、姿勢が悪いと顎の位置がずれやすくなり(顎が前に突き出しやすくなる)、顔の歪みが起きることがあります。

うつぶせで寝ることが多い

うつぶせで寝ると左右どちらかの顎が不自然に枕に押し付けられる形になります。いつもうつぶせで寝ていると就寝中に片方の顎に過度な力がかかってしまい、歯並びの異常や顔の歪みが起きることがあります。

ストレスや睡眠不足

就寝中の歯ぎしりや日常生活で食いしばりをしてしまう人は顎の筋肉や顎の骨格のバランスが崩れやすく、顔の歪みが起きることがあります。歯ぎしりや食いしばりはストレスや睡眠不足、咬み合わせの異常(不正咬合)が原因のケースが多いです。また、タバコやアルコールには覚醒作用があるため睡眠の質が落ちやすく、ストレスや睡眠不足の原因になることがあります。

咬み合わせに異常がある(不正咬合)

開咬(かいこう:上下の前歯が咬み合わないこと)など、咬み合わせに異常(不正咬合)があると顎関節症による顔の歪みを引き起こすことがあります。

顎関節症を発症している

顎関節症を発症している人は顔に歪みが起きることがあります。顎関節症は上記の原因のほか、虫歯や歯周病による歯の異常によって発症することもあります。

顔の歪みを引き起こす顎関節症とは

顎関節症とは、顎の筋肉(そしゃく筋など)や顎関節に異常が起きる病気です。具体的な症状には「顎が痛い」「口を開けると違和感がある」「口を開けたときに顎関節から音がする」などがあります。

顎関節症が原因で発生する顔の歪み

顎関節症の症状が進むと顔の歪みが発生することがあります。顔の歪みが起きると以下のような見た目になります。

■咬筋肥大(こうきんひだい・左右のエラまたは片方のエラが大きくなる)

噛む筋肉である咬筋(そしゃく筋など)の肥大によって起こる症状です。片方の歯ばかりで噛む、歯ぎしりや食いしばりのクセがある、などが原因で顎の筋肉が発達してしまい、エラが大きく張ってきます。

■顔面非対称(がんめんひたいしょう・顎のラインが左右で大きくずれている)

顎関節症の症状が進行すると顎のつけ根部分(耳の下あたり)の下顎頭という骨に癒着やすり減り・肥大が起き、骨が変形することがあります。顎の骨が変形すると顎のラインの高さが左右で大きくずれてしまい、顔が歪んできます。骨の変形のほか、そしゃく筋のアンバランスな発達も顔面非対称になる原因のひとつです。

■下顎後退(ががくこうたい・下顎が後ろに引っ込んでしまう)

両方の下顎頭に吸収が起き、顎の骨が変形すると下顎が後ろに下がってしまうことがあります。下顎後退になると顎が不自然に小さくなる(いわゆる「顎無し顔」になる)ほか、口を開けづらくなる、開口筋にコリや痛みを感じる、などの症状がでてきます。

歯科医院で行う顎関節症の治療方法

顎関節症は歯科、または口腔外科で主に治療を行います。ストレスや精神不調が原因のケースでは精神科や心療内科で治療を行うこともあります。歯科医院で行う顎関節症の治療方法には以下のようなものがあります。

薬物療法

痛みが強いときには鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレン・カロナールなど)を使って症状を軽減させます。

スプリント療法

スプリントと呼ばれるマウスピースを使う治療法です。マウスピースを使うことでそしゃく筋や顎関節にかかる負担を軽減し、症状を緩和させます。

理学療法

顎の筋肉に電気を流したり、マッサージをしたりして緊張をほぐします。血流を改善する効果やリラックス効果が期待できます。

運動療法

顎の筋肉のストレッチをしたり、口を動かしたりする訓練をします。訓練によって顎周辺の筋肉が増強するほか、顎の筋肉や顎関節の位置が正常なバランスに戻る効果が期待できます。

カウンセリング療法

ストレスや睡眠不足など、精神面が原因の場合にはカウンセリング療法を行うことがあります。カウンセリング療法は歯科医院ではなく、精神科や心療内科で行います。歯科医院でもカウンセリングは行いますが、歯科医院で行う顎関節症のカウンセリングは顎関節症が身体・精神面どちらに起因するのかを判断するためのものであり、精神療法としてのカウンセリングとは別物です。

歯科医院ではカウンセリング後、歯科医師の診断結果に基づいた治療を行います。もし、治療の効果が見られず、顎関節症が「精神面の不調によるもの」と歯科医師が判断した場合には精神科や心療内科での受診をすすめられることもあります。

矯正治療(歯列矯正)

開咬など、不正咬合が原因の顎関節症は歯列矯正による治療を行います。

外科手術

下顎頭のすり減りや吸収など、骨の変形が大きいケースや、上記の治療法で改善が見られない場合には外科手術で対処します。手術は口腔外科で行います。

頬づえなどの悪いクセをやめる

頬づえや、片方ばかりで噛む、いつも同じ向きで寝てしまうなど、悪いクセがある場合は生活習慣を見直すようにします。どうしてもクセが抜けないケースでは歯科医院で改善指導を行うこともあります。

まとめ

顎関節症の初期段階は口が少し開けにくい、会話しにくいなど、症状は比較的軽いです。しかし、症状が軽いからといって放置するとやがて「口をまともに開けられない」「痛くて食べ物を噛めない」「顔の歪みが起きる」など、日常生活に支障をきたすおそれがあります。

顎関節症は一度治しても、悪いクセが抜けない限りは何度でも再発します。症状を悪化させない、また、再発させないようにするためにも、日頃の悪いクセや生活習慣を見直すご自身の意識づけが重要になります。

歯科医院ではそれぞれの患者さんに合わせた顎関節症の治療を行うほか、再発を防ぐための予防処置(精密検査や定期検診など)も合わせて行います。強い痛みや顔の歪みがあるときにはもちろんのこと、少しでも顎や口に違和感がある場合はなるべく早めに歯科医院で診察を受けるようにしましょう。