そもそも永久歯が存在しない
正常な場合、乳歯の下には永久歯の赤ちゃんがいます。
スタンバイしていた永久歯の赤ちゃんは、生え変わりのタイミングまで少しずつ成長しながら乳歯の根元を溶かして上がってきます。
乳歯はグラグラと揺れて自然にぽろっと取れ、永久歯との入れ替わりを果たします。
このような流れが乳歯と永久歯との正しい生え変わりになりますが、永久歯の赤ちゃんが存在していない「永久歯の先天性欠如」の方も中にはいらっしゃいます。
その場合、乳歯の根元は溶けることなく揺らぎもないため歯として機能することになります。
永久歯の代わりとして存在することになりますが、乳歯にも寿命があるので20歳を過ぎた頃に抜けてしまうことがほとんどです。
永久歯が存在しない場合の原因別対処法
永久歯が存在しているかどうかは、レントゲン写真を撮ることで確認できます。
永久歯があれば乳歯の下に永久歯の赤ちゃんがいる様子が写真に映し出されます。
では、永久歯がなかった場合どのような対処法があるのでしょうか?
永久歯がないことを乳歯が抜ける前に確認できた場合
1.矯正治療を行う
永久歯が欠如していた場合、適切なタイミングで乳歯を抜いて矯正治療で歯並びを整える方法があります。
永久歯が生え揃う12〜18歳頃の時期だと、顎の骨も柔らかいので歯を動かしやすく治療期間を短縮できます。
しかし、永久歯の欠損数が多すぎる場合や親知らずとの関係性などを考えた時、将来的な歯並びやかみ合わせに影響してしまう可能性もあるので歯科医師に相談するのが良いでしょう。
2.乳歯をなるべく長く使う
乳歯をできるだけ長く使って、治療のタイミングを遅らせる選択をする方もいます。
定期検診やホームケアなどで乳歯をできる限り長持ちさせ、脱落してしまった場合には、ブリッジやインプラントなどの治療方法で欠損した部分を補います。
永久歯がないことを乳歯が抜けてから確認した場合
1.矯正治療を行う
欠損部分以外の永久歯が生えていれば、矯正治療で歯並びを整えることができます。
欠損歯数など歯並びの状態によっては、他の歯を抜歯して歯列全体を整えることが必要になるケースもあります。
抜歯の必要性や矯正のタイミングについては歯科医師に相談してみるのが良いでしょう。
2.入れ歯を使う
あまりイメージの良くない入れ歯ですが、審美的に優れたタイプもあります。
金属のバネがなく歯ぐきの色に合わせたタイプがあるので、人目につきにくくすることができます。
永久歯は存在するが生えてこられない
永久歯が存在しているのに生えてこない場合、周辺の歯に影響が出てしまうリスクがあるので原因に合わせた対処が必要になります。
永久歯は存在しているのに生えてこない場合の原因別対処法
歯ぐきの厚みがあり過ぎて生えてこない
歯ぐきに厚みがあり過ぎたり、早々に乳歯を失って歯ぐきが硬くなったりして、永久歯が生えてこられなくなっていることがあります。
このような時には、レーザーで歯ぐきを切って永久歯が生えやすい環境を整えてあげることが効果的です。
それでも永久歯に動きがない場合には、矯正力をかけて歯を上に引き上げる処置をしなければなりません。
過剰歯があって生えてこない
本来の本数よりも多く生えている歯を過剰歯と言い、この歯が永久歯の萌出を邪魔していることがあります。
過剰歯の抜歯をすることで、永久歯が適切な位置へ向かって生えてくる手助けができます。
さいごに
永久歯が生えてこない場合、治療を必要とするケースとそうでないケースがあります。
治療が必要なケースでは、矯正治療や被せ物、インプラントなどの治療方法が考えられます。
しかし、ブリッジなどの被せ物は健康な歯を削るリスクがあり、インプラントは顎の成長が未発達の子供には行いません。骨格の成長が終わった後の成人に行うのが基本です。
矯正治療を含めどのような治療をどのタイミングで行うかは、歯科医師と相談して決めるのが良いでしょう。
「今は様子を見ましょう」と説明があった場合も、新しい永久歯の萌出や虫歯のリスクが高まる時期など、年齢とともにお口の中の環境は変化していきます。
1回の診察で終わらせるのではなく、子供の成長とともに継続的に担当医に確認してもらう定期検診を受けることが大切です。