生まれたての赤ちゃんにはむし歯菌はいない?
むし歯は、人の口腔内で生きている様々な種類の細菌のうち、むし歯の原因となるいくつかの菌が、歯の表面で食べ残しなどを餌に歯垢を作り、その中でどんどん増殖して、生み出された酸の影響で歯が溶けてしまう病気です。
一度住み着いてしまったむし歯の原因菌を完全に追い出すことはとても難しいので、口の中で増え過ぎない様に、毎食後に根気よく歯みがきを続けるなど、継続的なケアを行う必要があります。
生まれたばかりの乳児には、そもそも歯が生えていませんので、歯の表面を住処とするむし歯の原因菌にとっては、住みにくい、増殖しにくい環境と言えます。
大人と食器を分けてもむし歯菌はうつる?最新の研究結果!
歯が生える前の乳児の口の中にはむし歯菌はいないので、成長過程でむし歯菌に感染させなければ、乳幼児はむし歯にならない、と言う考え方があります。
むし歯の原因菌は、身近な大人から感染するので、家庭の中での大人との食器の使い回しや、口移しで離乳食などを食べさせるような行為、キスなどのスキンシップは乳幼児をむし歯から守るためには避けるべきだ、という考えはかなり一般的になっています。
しかし、最近の研究によると、食器の使い回しや口移しをしない様にかなり注意していても、日常生活の中での会話で唾液が飛んでいたり、乳幼児が家の中でいろいろなものを口に入れたりするうちに、いつの間にか口の中にはむし歯菌が入ってしまい、食器の使い回しや口移しでの食事を避けるなどの取り組みだけでは、乳幼児のむし歯菌への感染を防ぐ事は、かなり難しいことがわかってきました。
参考資料:一般社団法人日本口腔衛生学会「乳幼児期における親との食器共有について」
(https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_20230901.pdf)
親御さんによる適切なブラッシングでお子さんのむし歯を防ぎましょう
歯が生えてきた乳幼児の口の中には、たとえ食器の共用や口移しでの食事やキスなどのスキンシップを徹底的に避けて生活していたとしても、基本的にはむし歯菌が存在するものと考える方が現実的な様です。
乳歯や生えたばかりの永久歯は、歯質が弱く、むし歯になりやすく、進行も早いことが知られています。
口の中にすでに存在するむし歯菌を、なるべく増やさないためには、出来るだけ丁寧に親御さんが歯みがきなどの口腔ケアをしてあげることが大切です。
お子さんがある程度大きくなって、自分で歯ブラシを使えるようになってからも、なるべく頻繁に歯みがき状況の確認や、必要に応じた仕上げみがきを行い、みがき残しがないようにしてあげることが重要です。
繰り返しになりますが、いったん口の中に住み着いたむし歯菌を、口の中から完全に追い出すことは出来ませんので、増え過ぎない様に、適切な口腔ケアを根気よく継続することが必要なのです。
さいごに
乳幼児に限った話ではなく、大人も高齢者も同様ですが、家庭での歯みがきなど、日常の中でのセルフケアだけで、むし歯を完全に防ぐのはかなり難しいです。
定期的に歯科医院でプロによるメインテナンスやクリーニングを受けたり、みがき方のクセなどをチェックしてもらい、適切な指導を受けたりすることは、年齢を問わずとても重要です。
歯が痛い、沁みるなど、口の中になんらかのトラブルが起きてから歯科医院に行く生活を続けていると、歯科医院に対して苦手意識をもってしまい、なるべく近づきたくないと思ってしまいがちです。
できるだけ若い頃から、理想としては歯が生え始めてすぐの頃から、悪いところが無くても定期的に歯科医院に通い、歯医者さんや衛生士さんに口の中を診てもらう習慣を身に付けられれば、一生涯自分の歯で健康に過ごすことが出来る可能性が高まります。