抜く?抜かない?親知らずによる影響と症状を解説します!

親知らずとは

親知らずとは第三大臼歯とも呼ばれ、永久歯(大人の歯)の中で一番奥に生えてくる大臼歯です。智歯とも呼ばれることがあります。中切歯(一番中心の前歯)から数えて8番目に生えてきますが、生えてこない方もいらっしゃいます。
また、永久歯は本来、全部で28本です。最後に12歳臼歯(中切歯から数えて7番目の歯)が12歳から15歳くらいで生えそろうのが通常です。しかし、親知らずは12歳臼歯が生えた後、20代前半くらいに生えることもあります。親に知られることなく生えているというのが由来で、親知らずと呼ばれるようになったのです。

親知らずを抜いた方がいい場合

虫歯や歯周病になって、痛みや腫れがある

親知らずは一番奥に生えているため、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。また、萌出中(生えている途中)も汚れが溜まりやすいため、歯茎に痛みや腫れを感じることも。咬み合わせにもよりますが、治療して保存するよりも抜いた方がいいこともあるため歯科医院に相談しましょう。

横向きに生えていて隣の歯に影響を与えている

歯槽骨(歯が生えてくる顎の骨)にスペースがなく、親知らずが並びきらないで横向きに生えてくる場合も少なくありません。また、萌出方向が通常と違い萌出しきれず、埋伏歯(歯茎の中に埋まった状態)となり隣の歯にぶつかってしまうことも多々あります。このような状態は、親知らず自体の歯ぐきの炎症や隣の歯の根っこを溶かしてしまう可能性があるため抜いた方がいいでしょう。

歯磨きがしづらく、食べ物がつまったりする

親知らずをしっかり磨くことができず、食べかすなどが溜まると、親知らずだけでなく隣の歯まで虫歯になる可能性も考えられます。頻繁に炎症などがある場合は抜くことをおすすめします。ただし、歯磨き指導などで改善されることもあるので、相談してから決めていきましょう。

腫瘍や嚢胞の原因になっている

レントゲンで確認してみると含歯性嚢胞などにより、膿が溜まっていることもあります。膿の袋が神経を圧迫し痛みを生じたり、歯茎が腫れることがあるので自覚症状がある方は早めに歯科医院に相談しましょう。

親知らずを抜かなくていい場合

親知らずが上下できちんと生え、咬み合っている

親知らずが真っすぐに生えていて、さらに上下の咬み合わせが合う場合はそのままにしておいても問題はありません。親知らずが真っすぐに生えていても、咬み合わせが合っていないと歯が伸びてきて(落ちてきて)しまうことがあります。

顎の骨の中に完全に埋まっていて問題が無い

顎の骨の中に埋まっていて、膿もなく隣の歯にも影響がない場合はそのままにしておいてて問題ありません。ただし、徐々に萌出してくることや妊娠などがきっかけで炎症を起こす場合もあるため経過観察が必要。

入れ歯やブリッジの土台として親知らずが必要

中切歯から数えて7番目の歯が欠損(抜ける・虫歯などで失う)した場合、ブリッジや入れ歯など親知らずを支えとして必要とすることがあります。親知らず以外を欠損しそうな場合は、親知らずを保存しておくことも大切です。

親知らずを移植する

大臼歯(親知らずと同じ奥歯)が欠損した場合、その部分に親知らずを移植して使用することができる場合もあります。移植できるかどうかは、親知らずの形や移植部位の状態にもよるため慎重に判断します。

矯正治療で親知らずを正しい位置に動かすことができる

親知らずが生えるスペースがある場合は、斜めに萌出している親知らずを矯正治療によって正しい咬み合わせに並べることができます。矯正治療できない可能性もあるため、精密検査が必要です。

親知らずが引き起こす影響について

親知らずがしっかり生えていても、清掃不良により歯茎の炎症や虫歯・歯周病になる可能性があります。口臭の原因や隣の歯へ悪影響を及ぼすことも考えられるため、親知らずが生えている方は適切な清掃方法を身に付けましょう。
また、親知らずがしっかり生えていないと、顎に痛みを感じて口を開けることが困難になることも。最近口が開けづらいと感じる方は、親知らずが原因かもしれません。
親知らずを抜く、抜かないは、口の中の状態や親知らずの虫歯の有無などケースバイケースです。一概には言えないので、一度歯科医院で相談しましょう。